NASへ自動バックアップする方法|Windows 11の設定・クラウド保存・復元まで解説

Windows 11のパソコンデータをNASへ自動バックアップする流れを初心者向けに解説します。NAS共有フォルダの準備、File Historyの設定、復元確認、RAIDの注意点まで整理します。
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パソコンのデータをNASへ定期的にバックアップしておけば、毎回手動でファイルをコピーする手間を減らし、パソコンの故障や誤操作に備えやすくなります。
ただし、NASを用意しただけではバックアップは完成しません。Windows側でバックアップ先を設定し、実際にデータが保存されているか、さらに必要なときに復元できるかまで確認することが重要です。
この記事では、Windows 11のパソコンからNASへ自動バックアップする基本的な方法を中心に、NAS自体を外付けHDDやクラウドへバックアップする考え方まで初心者向けに解説します。
Windowsのバックアップ方法そのものを比較したい場合は、Windowsのバックアップ方法5選|NASを活用した安全なデータ保護のポイントも参考にしてください。
結論|PC→NAS→別媒体またはクラウドの順で考える
Windows 11では、File History(ファイル履歴)を利用して、ユーザーのファイルを外付けドライブやネットワーク上の場所へ定期的にバックアップできます。
NASをバックアップ先として使う場合は、次の流れで考えると分かりやすくなります。
- NASにバックアップ用の共有フォルダを作る
- WindowsからNASへ接続できることを確認する
- File HistoryでNASをバックアップ先に指定する
- 実際にバックアップされているか確認する
- ファイルを復元できるかテストする
- 重要なデータはNASから外付けHDDやクラウドにもバックアップする
NASに1つだけコピーを置いて終わりにせず、NAS自体が故障した場合にも備えることが重要です。
NASとは?バックアップで使う理由
NASは、ネットワーク経由で複数のパソコンなどから利用できる保存装置です。外付けHDDのように1台のパソコンへ直接つなぐのではなく、社内や家庭のネットワーク上に設置して利用します。
NASの基本的な仕組みや、外付けHDD・クラウドとの違い、メリット・デメリットから確認したい場合は、NASとは?中小企業のデータ共有・バックアップに役立つ仕組みを初心者向けに解説も参考にしてください。
この記事ではNAS本体の選び方ではなく、Windows PCのデータをNASへ自動的に保存し、必要なときに復元できる状態を作ることを中心に説明します。
NAS本体の容量やベイ数、RAIDなどを含めて選びたい場合は、小規模オフィス向けNASの選び方ガイドも確認してください。
Windows 11からNASへ自動バックアップする全体の流れ
- NASをルーターやスイッチングハブなどのネットワークへ接続する
- NASにバックアップ専用の共有フォルダを作成する
- Windows PCからNASの共有フォルダへアクセスできるか確認する
- File Historyでネットワーク上の保存先としてNASを指定する
- バックアップ対象となるファイルやフォルダを確認する
- バックアップを実行する
- NAS側へデータが保存されているか確認する
- 必要なファイルを実際に復元してみる
NASメーカーや機種、Windowsの更新状況によって画面表示が異なる場合がありますが、基本的な考え方は同じです。
NASにバックアップ用の共有フォルダを作る
まずNASの管理画面で、パソコンのバックアップを保存するための共有フォルダを作ります。
例えば、次のような名前にすると用途が分かりやすくなります。
- backup
- pc-backup
- PC-A-backup
- office-pc-backup
会社で複数のパソコンをバックアップする場合は、パソコンごとに保存場所を分けると管理しやすくなります。
- 通常の共有データとバックアップ用フォルダを分ける
- 必要なユーザーだけが読み書きできるようにする
- 複数PCではパソコンごとに保存先を分ける
- NASの空き容量に余裕があるか確認する
共有フォルダの作り方やアクセス権の設定方法はNASメーカーによって異なるため、実際の操作は使用している機種の公式マニュアルを確認してください。
WindowsからNASへ接続できるか確認する
バックアップ設定を行う前に、WindowsからNASの共有フォルダを正常に開けるか確認します。
エクスプローラーのアドレス欄へ、環境に応じて次のような形式で入力します。
\\NAS名\共有フォルダ名
NASのIPアドレスが分かっている場合は、次のように指定することもできます。
\\192.168.1.100\共有フォルダ名
「192.168.1.100」は例です。実際には使用しているNASのIPアドレスを指定してください。
ユーザー名とパスワードを求められた場合は、NAS側で登録した情報を入力します。
Windows 11でFile Historyを使ってNASへ自動バックアップする
Microsoftの現在の公式情報では、File Historyはドキュメント、写真、ビデオ、デスクトップなどのユーザーファイルを、外付けドライブまたはネットワーク上の場所へ定期的にバックアップする機能として案内されています。
Windows全体を完全に複製するシステムイメージとは役割が異なります。
公式情報:Backup and restore with File History | Microsoft Support
File Historyでバックアップできるもの
- ドキュメント
- ピクチャ
- ビデオ
- ミュージック
- デスクトップ
- ライブラリに含まれるファイルやフォルダ
別の場所に保存しているフォルダをバックアップ対象に含めたい場合は、そのフォルダをライブラリへ追加する方法があります。
ただし、Windowsそのもの、業務アプリ、すべての設定を丸ごとNASへ複製する機能ではありません。
会社全体のバックアップ方法を整理したい場合は、会社のデータをバックアップする方法|中小企業で最低限やっておきたい対策も参考にしてください。
File HistoryでNASをバックアップ先に設定する
Windows 11では、File Historyはコントロールパネルから設定できます。
- WindowsからNASの共有フォルダへ接続できることを確認する
- 「コントロール パネル」を開く
- 「システムとセキュリティ」を開く
- 「File Historyでファイルのバックアップ コピーを保存」を選ぶ
- 保存先が選ばれていない場合は「ドライブの選択」を開く
- ネットワーク上の場所としてNASを選択する
- 設定を確認してFile Historyを有効にする
NASが候補に表示されない場合は、先にエクスプローラーからNASの共有フォルダを開けるか確認してください。
- NASの電源が入っているか
- LANケーブルやWi-Fiが正常か
- WindowsとNASが同じネットワークにいるか
- 共有フォルダの名前が正しいか
- ユーザー名・パスワードが正しいか
- 共有フォルダへのアクセス権があるか
NASがバックアップ先として表示されない場合
File Historyでネットワーク上の保存先が見つからない場合は、まずNASそのものへ接続できているかを確認します。
Microsoft公式でも、File Historyでネットワーク上の場所へバックアップしている場合、接続が切れたときはコントロールパネルの「システムとセキュリティ」→「ファイル履歴」からネットワーク上の保存先を再選択する方法が案内されています。
NAS側のIPアドレス変更、ネットワーク障害、パスワード変更などによって、それまで使えていた保存先へ接続できなくなることもあります。
バックアップ対象を確認する
File Historyを有効にしても、仕事で必要なすべてのデータが自動的に対象になるとは限りません。
特に会社のパソコンでは、Cドライブ直下や独自のフォルダに業務データを保存していることがあります。
- デスクトップ
- ドキュメント
- ピクチャ
- 業務専用フォルダ
- 制作データ
- 顧客データ
重要なデータがどこに保存されているかを確認し、File Historyの対象外であれば、ライブラリへ追加するか、別のバックアップ方法を検討してください。
実際にNASへバックアップされているか確認する
設定が終わったら「設定したから大丈夫」と考えず、NAS側へ実際にデータが作成されているか確認します。
- NAS側にバックアップデータが作成されているか
- 更新日時が最近になっているか
- 必要なファイルが対象になっているか
- NASの空き容量が不足していないか
- エラーが発生していないか
バックアップ先がネットワーク上にあるため、NASやネットワークに長時間接続できていないと、バックアップが止まる場合があります。
複数のパソコンを1台のNASへバックアップする場合
小規模な会社では、複数台のパソコンを1台のNASへバックアップすることもできます。
その場合は、どのパソコンのバックアップなのか分かるように保存場所を分けると管理しやすくなります。
| パソコン | NAS側の保存先例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| PC-A | backup/PC-A | 担当者や用途を明確にする |
| PC-B | backup/PC-B | 他PCのデータと混在させない |
| PC-C | backup/PC-C | 容量とアクセス権を確認する |
NASによってはパソコンバックアップ用の専用アプリが用意されている場合があります。メーカー独自機能については、機種ごとの公式マニュアルを確認してください。
NASに保存しただけでバックアップになる?
パソコンの元データとは別にNASへコピーを保存しているのであれば、パソコン故障への備えにはなります。
しかし、NAS自体にも故障やデータ消失の可能性があります。
- NAS本体の故障
- HDD・SSDの故障
- 誤削除
- ファイルの上書き
- ランサムウェアなどによる暗号化
- 盗難
- 火災や水害などの災害
そのため、重要なデータについてはPC→NASだけで終わらせず、NASから別の場所へもコピーを作ることを検討してください。
RAIDはバックアップの代わりにならない
複数のHDDを搭載したNASでは、RAID1などを利用できる製品があります。
RAIDの構成によっては、1台のHDDが故障してもデータを保持しながら運用を継続できる場合があります。
ただし、RAIDはバックアップそのものではありません。
- 誤削除が反映される可能性がある
- 上書きしたファイルを元に戻せるとは限らない
- ランサムウェアの影響を受ける可能性がある
- NAS本体の故障には対応できない場合がある
- 盗難や災害ではNAS全体を失う可能性がある
RAIDは主にディスク障害への耐性を高める仕組みであり、別の場所へデータを保存するバックアップとは役割が異なります。
NAS自体もバックアップする
パソコンからNASへ自動バックアップできても、重要なデータがNASだけに集まっている状態では十分ではありません。
例えば次のような構成が考えられます。
- 普段の作業データ:Windows PC
- 自動バックアップ:NAS
- NASの重要データ:外付けHDDまたはクラウド
1か所の故障や操作ミスで、すべてのデータを同時に失わない状態を作ることが重要です。
NASをクラウドへバックアップする方法
NAS自体のバックアップ先として、クラウドストレージを利用する方法もあります。
例えば、パソコンのデータをNASへ自動バックアップし、NAS内の特に重要なデータをさらにクラウドへ保存すれば、NAS本体の故障だけでなく、盗難や火災などによってNASそのものが使えなくなった場合にも備えやすくなります。
イメージとしては次のような構成です。
- 第1の保存場所:Windows PC
- 第2の保存場所:NAS
- 第3の保存場所:クラウド
NASメーカーによっては、クラウドストレージへバックアップするための専用機能やアプリが提供されています。ただし、対応するクラウドサービスや設定方法、利用料金などはNASのメーカーや機種によって異なります。
実際に導入する場合は、使用しているNASメーカーの公式情報で対応サービスを確認してください。
NASをクラウドバックアップするときの確認点
- NASが利用したいクラウドサービスに対応しているか
- クラウドの月額・年額料金
- 保存できる容量
- 初回バックアップに必要な通信時間
- 復元するときのダウンロード時間
- 暗号化などのセキュリティ機能
- バックアップ履歴をどこまで残せるか
大容量データをクラウドへ初回バックアップする場合は、インターネット回線によって長時間かかることがあります。
3-2-1バックアップという考え方
バックアップでは、1つの保存先だけに依存しないことが重要です。
代表的な考え方として「3-2-1バックアップ」があります。
- データのコピーを合計3つ持つ
- 2種類の異なる媒体・保存方法を使う
- そのうち1つを別の場所へ保存する
例えば中小企業なら、「PC+NAS+クラウド」や「PC+NAS+取り外して保管する外付けHDD」といった形が考えられます。
必ず同じ構成にする必要はありません。重要なのは、1台の機器や1か所の障害だけですべてのデータを失わないことです。
バックアップ頻度はどう決める?
バックアップ頻度は、「どの程度のデータを失ったら困るか」で考えます。
| データ | 考え方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 毎日更新する仕事データ | 比較的高頻度に保存 | 直近の変更が残っているか |
| 週に数回更新する資料 | 業務への影響に合わせる | 更新日とバックアップ日を確認 |
| ほとんど変更しない保管資料 | 保存場所と復元性を重視 | 長期間保管できているか |
例えば「昨日まで戻れれば業務を続けられる」のか、「1時間前まで戻れないと困る」のかによって必要な仕組みは変わります。
バックアップは復元できるかまで確認する
バックアップで最も重要なのは、必要なときにデータを戻せることです。
Microsoftの公式情報では、File Historyで保存された以前のバージョンから、ファイルやフォルダを復元できます。
- エクスプローラーで対象のファイルやフォルダがあった場所を開く
- フォルダまたはファイルを右クリックする
- 「以前のバージョンの復元」を開く
- 復元したい日時のバージョンを選ぶ
- 必要に応じて内容を確認する
- 上書きしたくない場合は別の場所へ復元する
実際に復元したファイルを開き、中身が正常かまで確認してください。
Windows 10を使っている場合
File HistoryはWindows 10でも利用できますが、Windows 10の通常サポートは2025年10月14日に終了しました。
2026年8月現在、MicrosoftはWindows 11への移行を案内しています。Windows 11へ移行できない一部の環境については、Extended Security Updates(ESU)を利用する選択肢もあります。
Microsoftの現在の案内では、コンシューマー向けESUによって対象となるWindows 10端末を2027年10月12日まで保護できる場合があります。
公式情報:Windows 10サポートは2025年10月14日に終了しました | Microsoft Support
Windows 10を業務で使用している場合は、バックアップだけでなく、OSそのものの更新・移行計画も合わせて確認してください。
NASバックアップでよくある失敗
- NASへ保存しているので安心だと思い、NAS自体のバックアップを取っていない
- File Historyを設定したが、対象外フォルダに重要データがある
- NASの容量がいっぱいになっていることに気付かない
- ネットワーク切断でバックアップが止まっている
- バックアップはあるが復元テストをしていない
- RAIDをバックアップだと思っている
- すべてのバックアップを同じ場所に置いている
バックアップは「設定したか」ではなく、現在も保存されているか、復元できるかを定期的に確認することが大切です。
よくある質問
Windows 11からNASへ自動バックアップできますか?
はい。File Historyでは外付けドライブだけでなくネットワーク上の場所を保存先として利用できます。NASの共有フォルダへWindowsからアクセスできる状態にしたうえで設定します。
NASに保存すればバックアップは十分ですか?
十分とは限りません。パソコンからNASへコピーがあっても、NAS自体の故障、誤削除、ランサムウェア、盗難、災害などがあります。重要なデータはNASとは別の場所にも保存することを検討してください。
NASをクラウドへ自動バックアップできますか?
対応しているNASでは可能です。ただし、利用できるクラウドサービスや設定方法はメーカー・機種によって異なります。使用しているNASの公式マニュアルで確認してください。
NASと外付けHDDはどちらがバックアップに向いていますか?
1台のパソコンだけで利用する場合は外付けHDDの方が簡単なことがあります。複数PCをまとめてバックアップしたい場合や、ネットワーク経由で管理したい場合はNASが向いていることがあります。両方を組み合わせる方法もあります。
RAID1なら別のバックアップは不要ですか?
不要にはなりません。RAID1は主にHDD故障への耐性を高める仕組みですが、誤削除、ランサムウェア、NAS本体の故障、盗難、災害などには別のバックアップが必要です。
複数のパソコンを1台のNASへバックアップできますか?
可能です。パソコンごとに保存先やアクセス権を分け、NASの容量不足が起きていないか定期的に確認すると管理しやすくなります。
バックアップはどのくらいの頻度で取ればよいですか?
データの重要度や更新頻度によって異なります。「どこまで過去の状態に戻れれば業務を続けられるか」を基準に考えてください。毎日更新する重要データほど、より高い頻度でバックアップする必要があります。
まとめ
Windows 11ではFile Historyを利用して、パソコンのファイルをNASなどのネットワーク上の場所へ定期的にバックアップできます。
基本的な流れは、NASへバックアップ用共有フォルダを作り、Windowsから接続できることを確認し、File Historyで保存先を設定するというものです。
ただし、NASへ保存しただけで安心するのではなく、実際にデータが保存されているか、必要なファイルを復元できるかまで確認してください。
さらに重要なデータについては、Windows PC→NAS→外付けHDDまたはクラウドのように複数の保存場所を持つことで、NAS自体の故障や盗難・災害などにも備えやすくなります。
